受けてみたということをわざわざ記事にするくらいなので、当然受かった。10年、20年前と違って、今はMENSAに関する情報はいくらでもあり、目新しいことはあまり書けないが、一応経験者として記述しておく。
MENSAについては子供の頃から存在は知っていた。当時は「頭のいい人が入る団体」という程度の認識で、メディアでもそういう扱いだった。ただ、具体的に何がすごいのかはよく分からなかったし、興味もなかった。
それが少し身近になったのは大学生の頃で、友人がMENSAに入会した。その友人はいわゆる天才タイプではないが、真面目に勉強する人で、大学在学中か大学院在学中に、まだ易化する前の電験三種を取得していたと思う。その友人いわく、「入会テストはそんなに難しくない。お前でも受かる」という話だった。それを聞いて、いつか受けてみてもいいかもしれないと思った。
とはいえ、そこからかなり長い間、実際には受験しなかった。理由は単純で、MENSAでは「入会テストそのものより、申し込みの方が難しい」と言われるくらいすぐ定員が埋まるからだ。そんなくだらないテストのために本腰を入れて申し込むのもバカバカしく、結局何年も放置していた。その間にコロナ禍で試験自体が停止していた時期もあった。
再び興味を持ったきっかけは、MENSA会員の知り合いができたことだった。その人は口が達者で、表面的には仕事ができるように見えるタイプ。自分がMENSAであることを恥ずかしげもなく言えるような人で、なんなら誇っている様だった。それが滑稽に思え、イジろうと思ったが、自分が非会員の状態でその人を茶化すと、「IQ上位2%の自分に歯向かう凡人」みたいな扱いをされそうだったので、そっとしておいた。ただ、「あなたが誇っているMENSAというのは、自分みたいな凡人でも入れる団体ですよ」と示すために入会テストを受けなければならなかった。
受験前の率直な感想は、「こんなの本当に落ちるのか?」というものだった。今は情報がない時代ではなく、似たような問題はいくらでもネット上に転がっている。MENSAで出されるような図形問題も、結局はパターン認識のバリエーションに過ぎず、そこまで特殊なものには思えなかった。
有名な模擬試験としては、ノルウェーMENSAやデンマークMENSAのオンラインテストがあり、試しにやってみたところ、どちらも130程度だった。問題も以前どこかで見たことがあるようなものが多い。
MENSAの入会テストは図形問題中心なので、パズルや謎解き、ボードゲーム好きが集まりやすいらしい。入会テスト対策をすることは咎められることが多いが、そもそも普段からそういうものに触れている人が有利なのではと思う。私はパズルや謎解きに全く興味がないわけではないが、普段からやっているわけではない。
実際に受けた感想としては、多くの人が言う通り簡単だった。途中で悩んだ問題はいくつかあったが、最終的に自信がなかったのは1問だけ。入会できる手応えは十分にあった。
ネット上の合格者の記事を見ても、「2問くらいは悩んだ」という人が多い。そして「2問までは不正解でも通るのではないか」とよく言われている。真偽は分からないが、感覚的には妥当に思える。
ただ、その一方で、「手応えがあったのに落ちた」という人もかなり多い。中には「全問自信があったのに落ちた」という人すらいる。恐らくケアレスミスなのだろうが、それにしてもそういう話が多い。自分自身も、簡単だと思った問題で勘違いをしていた可能性はあると少し不安だった。
合格率についてはネット上で諸説ある。大学時代の友人は「6割くらい受かる」と言っていたし、私が受験した際には試験官が「7割くらい」と話していた。ただ、これは受験者ベースなのか、申し込み者ベースなのかは分からない。
もし申し込み者ベースなら、24人中3〜4人しか落ちない計算になる。というのも、欠席者もそれなりにいるからだ。そして、少なくとも私の隣に座っていたおばさんは落ちたと思う。45問を30分で解かなければならないのに、その人は数分間、問題を解かずに眺めていた。さらにブツブツ言いながら解いていて、うるさく気が散った。私は15〜20分程度で一通り解き終え、残り時間は見直しと、自信がなかった問題の検討に使っていた。44問については、自分の中では納得のいく回答だったので、手応えはあった。
MENSAに落ちたところで実生活に何の影響もない。しかし、落ちた場合の自尊心へのダメージはかなり大きいと思う。別に自分を選ばれた人間だとか、天才だと思ったことは一度もない。ただ、この程度のテストに落ちる人間とは思えなかった。受験前はMENSAをバカにしていたが、落ちる可能性を想像して妙なプレッシャーを感じた。結果発表は3週間後と言われていたが、実際には1週間も経たずにメールが来た。入会後に積極的に活動する気はなかったが、スポーツ系のイベントもあるらしいので、機会があれば参加するかもしれない。
最後に、自分自身のバックグラウンドについても書いておく。
MENSA合格者の記事を見ると、「小学生の頃の知能一斉検査でハイスコアだった」とか、「頭の回転が速すぎて会話が先に進んでしまう」といった話がよく書かれている。しかし、自分にはそういう経験は全くない。そもそも、小学生の知能一斉検査なんて50年くらい前の話ではないのか。
こういう高IQ者は集中力が凄まじいとか、運転中に話しかけても反応がないといった発達障害傾向が強いと聞くが、私は全くそんなことがなく、むしろ集中力が足りないことが多い。なので、テスト中もおばさんの小言が非常に気になった。
1クラス10人程度しかいないような田舎出身で、その中で成績が飛び抜けていたわけでもない。中学も1学年100人程度しかおらず、その中では成績上位ではあったが、一桁順位を取ったのは確か1〜2回だけだった。
その後も、地方の進学校で300人中真ん中くらいの成績を取り、地方国立大学へ進学するという、典型的な田舎者コースを歩んでいる。大学でも特別成績が良かったわけではない。
これまでの人生で、自分よりはるかに頭の切れる人間をたくさん見てきた。だから、自分がMENSAに入って「IQ上位2%」と言われても、正直そこまで実感はない。日本人の3〜4割くらいは、対策や慣れ込みで入会テストを突破できるのではないかと思っている。そして、落ちる人の多くは単なる凡ミスなのではないかとも思う。
東京大学の人がMENSAを自慢するとは思えないし、自分がMENSAであることを過度に主張する人がいたら、何もない人なんだろうなと思う。